Report 熱力学 JS0.5

Preface

熱の本質は，原子・分子といった粒子の乱雑な運動に存在します．このことから，熱エネルギーとエントロピーという2つの重要な概念が形成されていきました．
熱エネルギーは原子・分子の熱運動のエネルギーに起因します．具体的には原子・分子のそれぞれの力学的エネルギー（運動エネルギーとポテンシャル）の総和として与えられます．熱エネルギーについては熱力学第一法則が成立します．この法則は，内部エネルギーと出入りする熱と外部からの仕事の関係を示し，広義のエネルギー保存則を表しています．
一方，エントロピーは熱的現象の不可逆変化に関する物理量です．熱的現象が不可逆である原因も，原子・分子の乱雑な熱運動にあります．熱的現象の不可逆変化から論理を展開し，エントロピーが増大するという熱力学第二法則が導かれる過程を本論では見ていくことになります．
これらの概念，法則は現代の理論物理学の中でも重要な位置を占めています．

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